2019.12.23

鹿島を追い詰めたV・ファーレン長崎。
来季へ価値ある天皇杯ベスト4

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 常勝軍団相手に大健闘を見せるも、ベスト4敗退。V・ファーレン長崎の快進撃がついにストップした。

 第99回天皇杯準決勝。J2クラブとして唯一ベスト4へ駒を進めていた長崎は、鹿島アントラーズに2-3で敗れた。もしもJ2から決勝進出となれば、第94回大会のモンテディオ山形以来となる快挙だったが、その夢にはあと一歩及ばなかった。

 試合序盤は、完全に鹿島ペースだった。

 鹿島はパスをつないで相手を押し込み、敵陣で常に試合を進めることができていたばかりか、開始早々の4分に早くも先制ゴール。MF三竿健斗が放ったミドルシュートが偶然、FW伊藤翔に当たり、はね返ったボールがMFセルジーニョへの絶好のパスとなったのだから、運も鹿島に味方していた。

 しかも、前半23分に生まれた鹿島の追加点は、長崎のオウンゴール。ようやく長崎の選手が落ち着きを取り戻し、少しずつ鹿島陣内で試合を進められるようになっていた矢先の出来事だけに痛恨だった。

 番狂わせを狙う長崎にとっては、ロースコアで試合の流れを引き寄せ、鹿島の焦りを誘いつつ、どこかで一太刀浴びせる。それが理想のゲームプランだったに違いない。それを考えれば、試合は最悪の展開で進んでいたと言っていい。

 ところが、瀕死の長崎は、ここから鹿島に必死で食らいつく。最終的なスコアだけを見れば、極めて妥当な結果ではあったが、地力に勝る鹿島が長崎を突き放そうにも突き放せなかった試合は、最後までどう転ぶかわからなかった。

鹿島アントラーズ相手に善戦したV・ファーレン長崎 長崎はJ2のリーグ戦が終了して以降、この試合に照準を合わせ、徹底して鹿島対策を講じてきた。

 まずは、メンバー選びである。チームを率いる手倉森誠監督が語る。

「リーグ戦(J2)とカップ戦(天皇杯、ルヴァンカップ)でターンオーバー(メンバーを入れ替える)するなかで、リーグ戦で出場機会のない選手たちが、ここまで勝ち上がってきてくれた。リーグ戦が終わり、トレーニングを3週間やってきて、(リーグ戦とカップ戦のメンバーの)ミックスでやることによって、鹿島に『誰が出てくるんだろう』と思わせたかった」