青森山田、選手権連覇へ吉兆。最強・名古屋を下しユース年代の頂点に (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 ユース年代の強化・育成を目的に、プレミアリーグが創設されたのは2011年のこと。以来、高校、クラブユースを問わず、トップ20のチームを東西に分け、それぞれ10チームずつがホームアンドアウェーによる2回戦総当たりのリーグ戦が行なわれている。東西の優勝チームがユース年代日本一の座をかけ、一発勝負で対戦するのが、この高円宮杯ファイナルだ。

 高円宮杯ファイナル(2017年以前の名称はチャンピオンシップ)が現行方式で行なわれるようになり、今回で9回目を数えるが、高校のチームが優勝するのは、2013年の流通経済大柏、2016年の青森山田に続き、3度目。Jクラブ優勢の大会を制しただけに、黒田監督の感慨もひとしおだ。

「高校サッカーの代表として、恥ずかしくないプレーを見せたかった。優勝できたのはよかったし、肩の荷が下りた」

 とはいえ、これが最後の公式戦となるクラブユースの名古屋とは違い、青森山田にはチーム最大の目標が、およそ2週間後に迫っている。

 言うまでもなく、全国高校サッカー選手権大会である。

 青森山田は昨季の選手権で、2年ぶり2度目の優勝を果たしている。ただでさえ注目を集めるディフェンディングチャンピオンだが、高円宮杯ファイナルも制したことで、そこでの注目度はより一層高いものになるだろう。

 それでも、黒田監督が「(昨季の選手権優勝メンバーから)武田ひとりしかレギュラーが残らなかったが、そのことが逆に結束力を高め、彼らの成長につながった」と目を細めるチームは、名古屋戦がそうだったように、決して浮つくことなく、しっかりと地に足つけた戦いができている。

 1年前の選手権制覇を知る、キャプテンのMF武田英寿(たけだ・ひでとし)は、「試合になれば、(前回大会優勝の)プレッシャーは感じない。自分たちがやるべきことをやればいい」と、あくまでも自然体を強調。自身は、すでに浦和レッズ入りが内定していることでも注目されるはずだが、「(プロ入りが決まったからといって)自分の意識が変わることはない。泥臭く走ることもやり続けたい」と語る。

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