徳島ヴォルティスがJ1昇格へあと1勝。指揮官が見つけた戦術の最適解 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 常に相手の背後のスペースを狙って選手が連動する、徳島らしい速攻だった。

 一方、前半途中からガス欠状態に陥り始めていた山形は、もはや反撃の術(すべ)を持ち合わせていなかった。チーム内得点王の大槻周平やジョーカーのジェフルソン・バイアーノを欠いていたため、終盤にパワープレーを見せるのが精一杯。最後に力尽きた。

 ドローでも勝ち上がりが決定するというアドバンテージが、逆に戦い方を難しくするというプレーオフの定説は、リカルド・ロドリゲス監督率いる徳島にはあてはまらない。1回戦のヴァンフォーレ甲府戦と同様、この試合でも守って逃げ切りを図るような守備的姿勢は微塵も感じさせなかった。

 注目は、12月14日に予定されるJ1リーグ16位の湘南ベルマーレとの「J1参入プレーオフ決定戦」である。普通に考えれば、J2で4位だったチームがJ1の16位チームに勝利する確率は高くない。しかもアウェーの地で戦う徳島は、ドローで終わった場合は敗退が決定するというビハインドも背負った状況にある。

 果たして、リカルド・ロドリゲス監督は格上に立ち向かう挑戦者として、湘南戦をどのようにプラニングするのか。同じ3-4-2-1を採用する湘南に対して、立ち上がりから激しくプレスをかけて敵陣で試合を進めることができるのか。仮にそれができたとしたら、徳島にも勝算は生まれるはずだ。

 湘南も引いて守るスタイルではないだけに、来るJ1参入プレーオフ決定戦は、とりわけ前半戦の攻防が大きなポイントになることは間違いなさそうだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る