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徳島ヴォルティスがJ1昇格へあと1勝。
指揮官が見つけた戦術の最適解

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 リカルド・ロドリゲス監督率いる徳島ヴォルティス(リーグ戦4位)と、木山隆之監督率いるモンテディオ山形(同6位)が対戦した「J1参入プレーオフ2回戦」は、両指揮官の狙いがはっきりと見てとれた試合となった。

 最後に笑ったのは、後半53分に生まれた河田篤秀の決勝ゴールによって勝利を手にしたリカルド・ロドリゲス監督だ。就任初年度の2017年にはハイライン・ハイプレスを基本とする攻撃的サッカーを徳島に植えつけ、複数のシステムを使い分けることでも注目を浴びた気鋭のスペイン人指導者である。

J1参入プレーオフ決定戦に駒を進めたのは4位の徳島ヴォルティスJ1参入プレーオフ決定戦に駒を進めたのは4位の徳島ヴォルティス ただし、最終的に4位に食い込んだ今季のサッカーが当時とまったく同じかというと、そうではない。

 ひと言でいえば、ボールを握る攻撃的スタイルを継続しながら、状況によっては引いて守ることも辞さない、現実路線の戦い方とのベストミックス。それが、プレーオフ出場を逃した初年度の教訓をもとに、2年目の昨季から始まった試行錯誤によって指揮官が見出した最適解だった。

 イケイケサッカーだけでは結果を残せない。今季後半戦に見せた快進撃も、一発勝負のプレーオフにおける2連勝も、その方向転換がなければ成し得なかったと思われる。そういう意味では、この3年間で45歳の指揮官も進化を遂げたと言えるだろう。

 それがよく表われていたのが、この試合における前半の戦いぶりだった。

 キックオフ直後、前から激しくプレスをかけたのは、試合前のコイントスで風上を選択した山形だった。山形にとって、勝たなければ敗退が決まるという状況は、1回戦の大宮アルディージャ戦と同じ。しかし、その試合で後半に勝負をかけた木山監督は、一転、前半から勝負をかけた。

 おそらく、徳島相手に引いて守ると、致命的な先制点を与えてしまうと判断したのだろう。実際、同じ3-4-2-1を採用する徳島に対し、山形は1トップと2シャドーが徳島の3バックに激しくプレス。いきなり開始1分にビッグチャンスを作るなど、その後もほぼ敵陣でゲームを進めることに成功した。

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