湘南は「らしさ」を取り戻せるか。J1参入プレーオフ出場へ (2ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 お互いにチャンスは作るが決めきれない。まさに残留争いに巻き込まれたチーム同士の試合だったと言える。

 振り返れば今季の湘南は、曺貴裁前監督がパワハラ問題で退任。問題が発覚した8月以降、調査が長引きチームはガタガタになった。高橋健二監督代行をはさみ、現在の浮嶋敏監督が就任したのは10月のことだ。一時は、このまま降格するのではないかとも思われたが、前節のサンフレッチェ広島戦に勝って11試合ぶりの勝利を収め、生き残った。チームはどん底から少しずつ這い上がり、ボランチの齊藤を中心に湘南らしさを取り戻しつつある。

 ただ、松本戦のような戦いをしていては、プレーオフで勝てる保証はない。この試合に関して言えば、負けてもプレーオフ出場は決まっていたのだから、思い切って攻めてもよかったのではないか。清水が先制してからのベンチのバタバタ感は、ピッチ上の選手に動揺を与えたはずだ。

 プレーオフでは、湘南は引き分け以上でJ1残留が決まる。つまり、対戦相手は勝つためのサッカーをやってくる。それを受けて立ったら危険だ。今の湘南は、ボールを奪ってからのショートカウンターでチャンスを作っているが、ボールをつないで崩すという部分では課題を残す。もし先制点を奪われて引かれたら、それを崩すのは簡単ではないだろう。リーグ戦では11試合、複数得点がない。

 運命の一戦はホームでの試合になる。どこまで自分たちのスタイルで戦えるか。先制点が大きなカギを握る。

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