アジア王者がJ2降格?残り4節、大混戦のJ1残留争いを整理してみた (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 まず、名古屋は目下8試合も勝利から見放されており、最後に勝った第22節の川崎フロンターレ戦後に手にした勝ち点は3ポイントのみ(3引き分け)。フロントは9月に風間八宏監督を解任して第27節からマッシモ・フィッカデンティ新監督に指揮を任せたものの、攻撃的サッカーを標榜した前任者とは180度異なる守備的スタイルを志向する監督だけに、まだ選手がその変化に適応できていないのが実情だ。

 今後は神戸、鳥栖、磐田、鹿島と対戦する予定だが、17位松本に3ポイント差に迫られている現状を考えると、鳥栖(第32節)と磐田(第33節)との試合が最大の山場となりそうだ。

 一方、湘南に5ポイント、松本とは6ポイントの差をつけて一見安泰に見える浦和は、実はその数字以上に苦しい状況に立たされている。

 最大の懸念材料は、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)決勝戦に駒を進めたことにより、他チームより2試合も消化が早いことだ。しかも、残る2試合は優勝争いをするFC東京と、不振から脱した感のあるG大阪との対戦で、ここにきて4試合白星から遠ざかっている点も不安の種だ。

 逆に唯一の好材料は、FC東京との相性のよさ。11月30日に予定される第33節のFC東京戦の試合会場は味の素スタジアムだが、浦和が味の素スタジアムで行なわれたリーグ戦で最後に敗れたのは2004年9月23日までさかのぼる(2013年9月14日の敗戦は旧国立競技場での試合だった)。この大一番は、15年も続くこのジンクスを続けられるかも含め、J1残留を確定させるためには是が非でも勝ち点が求められる試合になる。

 また、浦和が11月24日にACL優勝を果たした場合は、「アジア王者がその後にJ2降格の憂き目に遭う」といった珍事が起こる可能性もある。浦和としても、日本サッカー界としても、それだけは避けたいところである。

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