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ブラジル人記者が見た鹿島の強さ。
ACL敗退もジーコはチームを誇った (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

「まるで永遠に終わらない試合のように思えた。僕が決めたゴールで、多少は安心してプレーできるかと思ったのに、その平和な時間はたった11分しか続かなかった。すぐに鹿島に追いつかれ、僕たちはとにかくその後もずっと走り続けるしかなかった。今日の僕たちは本当に優秀で勇敢だったと思う」
 
 鹿島が0-1でリードされていたハーフタイム。皆がトイレに行ったり、飲み物を買ったりしている時、突然、私の携帯が震えた。ジーコからのメッセージだ。

「リカルド、今日は毛糸の靴下を履いてきたか?」

 皆さんにとってはあまりにも謎なメッセージかもしれないが、私にはすぐその意味がわかった。ブラジルでは、観戦に行けば必ずそのチームが負けるような疫病神的な人を"冷たい足を持っている"と言う。ジーコは私がその"冷たい足"だと言うのだ。だから毛糸の靴下をはいて足を温めなさい、と。1点ビハインドのこの時、ジーコは状況を憂いていたのだろうが、遠くブラジルから来ている私にこんなジョークを飛ばすのを忘れなかった。

 だから、セルジーニョが同点ゴールを決めた時、私はすぐざまジーコにこう返信した。

「靴下は薄手でも、私の足はいつになく熱い! このまま進め、鹿島!」
 
 実際、私はまるで鹿島が私の心のチーム、サントスでもあるかのように熱く声援を送った。鹿島の攻撃には飛び上がって手をたたき、鹿島のピンチにはハラハラして爪をかんだ。

 しかし――鹿島はあと一歩のところで連覇の夢を逃してしまった。雨のそぼ降る寒い平日の夜にもかかわらず、スタジアムには1万5000人の観客が詰めかけ、絶えることなく声援を送っていたが、試合後はしんと静まり返り、まるでスタジアムの中で迷子になったかのようだった。

 私も足早にスタンドを去った。私の横には鹿島の選手数人が座っていたが、彼らも茫然とした様子で階段を下りていった。彼らとはエレベーターでも一緒になったが、私は話しかけることができなかった。彼らの失望とフラストレーションを強く感じたからだ。

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