ヴェルディ監督への想い。永井秀樹はユースで「合唱」を練習していた (4ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 永井は最後、選手たちにこんな言葉をかけた。

「もう自分がいなくても、お前たちは十分自分たちで戦えるようになっている。だから、自信を持ってクラブユースを戦ってほしい」

 監督としてスタートを切ったあの日と同じ真剣な眼差しで見つめる選手たち。純粋な気持ちが痛いほど伝わり、永井の胸には熱い思いがこみ上げ、涙が溢れた。

 こうしてユースの教え子たちと別れを告げた永井。翌日からは何の迷いもなく、トップチームの監督としてヴェルディ再建に取りかかり始めた。

 7月20日――。

 準備期間3日で迎えたJリーグ初采配、対愛媛FC戦。

 試合は前半で2点差をつけられる苦しい展開。

 しかし後半、悪い流れを断ち切り、劇的な逆転勝利を演出するきっかけを永井の愛弟子が作るとは、誰も予想できなかったに違いない。

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