2019.07.22

奈良にドリブル指導の仙人がいる。
全国に臨む五條高サッカー部の可能性

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • photo by Morita Masayoshi

 インターハイへの出場はじつに13年ぶり3回目。高校サッカー選手権への出場は一度もなく、プロ選手も輩出したことがないため、全国での知名度は決して高くない。ただ、高い技術力を前面に押し出したスタイルは魅力十分で、インターハイ開催の沖縄の地でダークホースとなりえる可能性を秘めるのが奈良の五條高校だ。

人工芝グラウンドで練習する五條高校 県内の大会でコンスタントに上位に食い込みながらも、全国大会と縁遠かったのには理由がある。五條高校がある奈良県南西部の人口3万人ほどの五條市は、吉野杉の産地として知られる吉野山地と金剛山地に囲まれた自然豊かな場所だ。

 市内を走る電車は1時間に1本しかなく、最寄り駅から学校まで山道を30分近く歩かなければならない。山間部の入学者を受け入れるための寮やスクールバスもあるが、学校に興味があっても通学の不便さを理由に断念する生徒は少なくない。

地元の子どもを育てようとしても、そもそものサッカー人口が少ないため、中学生年代のクラブチームが多い県北部の奈良市の高校などと比較すると分が悪い。

 そうしたハンデを抱える一方で、2017年の春には奈良県南部のサッカーの拠点として、校内のグラウンドが人工芝となった。奈良県内の公立高校で人工芝グラウンドを持つのは、ラグビーの強豪として知られる御所実業高校に続き2例目で、サッカー部としては初めて。環境の良さを理由に、これまで以上に優秀な人材が五條高校の門をたたくようになった。