鹿島の安西幸輝がポスト長友になる。タフさと小柄は日本の武器だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Masashi Hara/Getty Images

 両者のタイプは違う。佐々木は所属の広島では3バックの左サイドでプレーする。ディフェンダー色の強い選手であるのに対し、安西はひと言でいえば長友似だ。攻め上がりが得意のSBだ。日本が長友路線を追求するならば、自ずと安西のプライオリティは上昇する。

 ロシアW杯。日本がベスト8入り寸前まで迫ることができた要因は様々だろうが、一番は"小ささ"だった。外国の大きな選手に対し、小柄な日本人選手の巧緻性、俊敏さは、大きな効果を発揮した。相手にとって嫌らしい動きになっていた。

 長友はその中心にいた。左ウイングで構えた乾貴士(アラベス)とのコンビネーションは、日本の生命線になっていた。

 乾の2ゴールはその産物だった。それまで、ともするとムラッ気が多いプレーが目立った乾が、本番で大活躍した原因は、長友にあった。背後で構える左SBが、乾を孤立させなかったことと大きな関係がある。小柄な2人のコンビネーションプレーこそ、相手の一番の脅威になっていた。

 小ささは、それまでどちらかと言えばハンディになると考えられていた。その認識に誤りがあることを示してくれたのがロシアW杯だった。小ささはむしろ武器になる。そうした思考に基づくと、安西が俄然、貴重な選手に見えてくる。長友の後任に推したくなる。

 とはいえ、J1でのプレーはこれが2シーズン目だ。出身はいまをときめく東京ヴェルディユースで、鹿島に入団したのは昨季になる。1年前のいまごろ、安西の代表入りを予想した人は何人いただろうか。

 鹿島はSBに優れた人材が揃っていて、右は西大伍(現ヴィッセル神戸)と内田篤人、左にもクレバーで堅守を誇る山本脩斗がいた。そこで安西の武器となったのが、持ち前の多機能性だった。

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