光る久保建英。バルサ復帰ではなくFC東京残留ならJ1制覇も現実味 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「守備ではしっかりいくところと、ブロックを作るところをはっきりして、全体のラインもコンパクトさを保ったまま、コントロールできている」

 中盤の要である髙萩洋次郎は、守備組織に自信を見せる。一方で攻撃に関しては、次のように説明する。

「早い攻撃を第一優先に考えています。FWにそういう特徴がある選手がいるので、彼らのよさを生かすやり方ですね」

 実際に前節の名古屋戦でも、背後を狙った縦パス1本で永井を走らせ、決勝点を奪っている。この浦和戦でも、永井とディエゴ・オリヴェイラの2トップのスピードを生かそうとする意図は見て取れた。

 もっともこの日は、攻撃のバリエーション不足を露呈していたのも事実だ。相手の厳しい対応を受け、ディエゴ・オリヴェイラが起点となれず、永井が走り込むスペースもなかなか見出せなかった。せっかく奪ったボールを、うまく前に運ぶことができなかったのだ。

 ここで浮き彫りとなったのは、1対1の局面での打開力不足である。スペースがないなかでボールを運ぶには、局面の勝負に勝つほかない。しかし、仕掛けようにも目の前の敵をかわせず、再び相手にボールを渡してしまう。ひとりかわせばギャップを生み出すことができるが、そうした場面がほとんどないため、相手の守備組織のバランスを崩すことができなかったのだ。

 これはFC東京だけでなく、浦和側にも当てはまることで、リスクを負った仕掛けや縦パスといったプレーがなかったため、お互いに決定機が生まれないもどかしい展開に陥っていた。

 そんな状況を打破したのが、17歳の久保建英だった。

 今季開幕からハイパフォーマンスを続けていた久保は、この日はU-22代表帰りで、疲労を考慮されてベンチスタートとなっていた。しかし、永井に代わって62分からピッチに立つと、卓越したボールコントロールとキープ力を生かし、カウンター1本だったFC東京の攻撃に時間と余裕を生み出した。

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