2019.01.11

勝敗のカギはロングスローか。
打倒青森山田へ尚志が示す福島プライド

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 第97回全国高校サッカー選手権大会はベスト4が出そろい、1月12日、埼玉スタジアムで準決勝が行なわれる。どの高校にとっても、高校日本一まであと2勝だ。

 なかでも、最も優勝に近い位置にいるのは、青森山田(青森県)だろう。

 昨夏の全国高校総体では、よもやの2回戦敗退に終わったが、ユース世代の日本最高峰リーグ、プレミアリーグEASTでは2位となっており、全国屈指の実力を備えていることを証明している。MF檀崎竜孔(だんざき・りく/3年)、DF三國ケネディエブス(3年)という、ふたりのJクラブ内定選手をはじめ、選手個々の能力では今大会でも頭抜けた存在だ。

 大会前から優勝候補筆頭に推す声は多く、一昨年度の悲願の初優勝以来、2年ぶり2度目の選手権制覇を狙っている。

 そんな”横綱”に準決勝で挑むのが、2011年度の第90回大会以来、2度目のベスト4進出を果たした尚志(福島県)だ。

 7年前、初めてベスト4に進出し、憧れの国立競技場のピッチに立った尚志。しかし、当時は”ピッチ外”の話題が先行していた感が否めない。2011年度の大会とはすなわち、東日本大震災のおよそ10カ月後に行なわれた大会だったからである。

 甚大な地震と津波が東北地方を襲ったばかりか、福島は原発被害にも見舞われた。尚志サッカー部も、一度は活動がストップしたという。

 チームを率いる仲村浩二監督は当時、「震災後、一度解散したチームがまた戦えるのか、不安があった。みんな、戻ってこないんじゃないかと思った」と述懐している。

 結果的に、尚志は初の準決勝で四日市中央工に1-6で敗れはしたが、仲村監督は「福島県に勇気と感動を与えようと言ってやってきた。希望の1点をとってくれて、すごく思い出に残る大会になると思う」と語り、納得の様子を見せていた。未曾有の大災害後の大会だったことを考えれば、望外の健闘だったに違いない。