辞任から続投へ。ジュビロ名波監督が
味わった残留確定後の壮絶な90分 (4ページ目)
それで、その選手たちがプレーオフの話じゃなくて、普通にバカ話をしているわけですよ。その光景を見ているだけでも泣きそうになったんだけど、その会話に自分も加わって話をしていたら、『あ~、こいつらとまた一緒にサッカーをやりたいな』って、純粋に思ったんだよね。
そうしてそのあと、また服部と社長と話をしたんだけど、社長にいろいろと言われて......。その風呂場での話もしたら、社長が『そんないい話を聞いたら、なおさら(監督を)続けるしかないだろ』とか言って、懸命に自分を説得してくれて。
そのとき、嫁さんを立たせてくれたのもそうだけど、こんなに成績が悪かったのに『まだ自分を(監督として)使ってくれようとしてくれているんだ』『そうやって、支えてくれるクラブがあるんだ』と思ってグッときたというか......。
また、社長や服部の話を聞きながら、こんなに負けているのに『サポーターはいつもチャントを歌ってくれたよなぁ』とか思って。歌いたくない人も、(監督を)辞めろと思っている人もいただろうけど、『でも、そうやって応援してくれる人たちの気持ちに応えたいな』と、次第に思ったんだろうね。
で、選手たちに訓示を述べて解散して、そこでは進退のことは言わずに、もう一度部屋に戻って(社長と服部)と話をしたときに、『やります。(監督を)続けます』って、そこで初めて続投することを告げた。その瞬間、服部はすぐに自分の部屋に戻って、すぐに契約書を持ってきた。ほんと、10秒ぐらいで(笑)」
――名波さんの気が変わらないうちに、と思ったのでしょうね。それにしても、確かに"濃い"試合後の90分間でしたね。
「いやぁ~、めちゃ濃かったよ」
――そう思うと、会見の前に奥様が立っていなかったら......。
「『辞める』って言ってたね。絶対、言ってた。それはもう、自信がある」
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