2018.11.12

残留ファーストの磐田。持ち味を捨て、
腹をくくって勝ち点1奪取

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「自分は過去に降格を経験しているので、とにかく守備の安定を、というのはありますね」

 そう語るMF山田大記は、2013年にジュビロ磐田がJ2に降格したときのメンバーだ。その口惜しさは、誰よりも身に染みている。

「今シーズンは、ボールを持てても落とした試合があった。(第29節)エスパルス戦みたいに、自分たちがボールを回していても負けてしまった。その後で、(第30節)長崎と”守備対守備”みたいな試合で勝ち点を拾って、そこからは連勝して、プラスアルファを積み上げてきています。攻撃の選手としては、もっと高い位置でプレーしたいのはありますけど、今は(守備との)バランスが大事で……」

 磐田はJ1残留に向けてチーム一丸、腹をくくっている。

 11月10日、味の素スタジアム。12位の磐田は、5位FC東京の本拠地に乗り込んでいる。12位とはいえ、降格圏の16位との勝ち点差はわずか4。この試合を落とせば、残留に向けて黄信号が灯る。

FC東京に引き分け、ホッとした表情を見せるジュビロ磐田の選手たち 立ち上がりは、磐田のペースだった。積極的なプレスがはまって、球際で先手をとって、FC東京を押し込む。前線の大久保嘉人や山田が起点になった。

 しかし10分を過ぎると、FC東京が目を覚ました。チーム力の差を見せ、磐田の両サイドを容赦なくえぐる。3バックとウィングバックの結合部分を攻め立て、クロスから際どいシーンを作っている。

「磐田のウィングバックはストロングであり、ウィークでもある、という情報は分析からあったので、3バックのサイドの裏を積極的に突いていこうと、話をしていました。センターバック3枚のうちの2枚を釣り出せれば、中の枚数も減りますし」(FC東京・橋本拳人)