浮き沈みの激しい横浜F・マリノス。トリコロールの明日はどっちだ (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi photo by Getty Images

 会見後、取材エリアへの通路で会ったコーチのピーター・クラモフスキーに声をかけたところ、彼の方から「今日のうちの敗因は何だと思う?」と逆に質問された。そこで前述の3つの要因に加え、今日は中盤からの配球にミスが多くてリズムが生み出せていなかったと思う、と伝えたところ、彼は首肯しながら、「審判(の判定)がひどかったよ」と同意を求めるように言って去っていった。

 実際、先週も今週もマリノスのPKになっていてもおかしくない場面で、笛は吹かれていない。ウーゴ・ヴィエイラは「今日の審判は5部リーグ並み。Jリーグはレフェリーを改善すべき」と怒りを滲ませながら言った。

 もちろんそれはひとつの局面であり、すべてを説明するものではない。その意味で、チアゴ・マルチンスの言葉にはより説得力があった。

「今日は自分たちのサッカー、ポゼッションはできた。ただゴールを決めるときにどんな工夫をするのか。それを決定するのは僕ではなく監督だから、彼のイメージをきちんと理解する必要がある。あと、選手が各々で考えることも大事だ」

 チアゴとCBコンビを組んだドゥシャンも前向きに言った。

「シーズンには浮き沈みがあるものだけど、このチームは以前と比べて、大きく成長している。監督の要求は高いが、だからこそ、選手が成長できているとも言える。自分たちがやっていることを信じて、厳しいトレーニングを続けるしかない。そしてディテールを突き詰めていかないと」

 今季のマリノスは、同じ「シティ・フットボール・グループ」の筆頭、マンチェスター・シティの手法に大きな影響を受けている。そのシティも、ペップ・グアルディオラ監督の就任一年目には成功を収められなかった。中盤戦から終盤戦にかけて思うように勝ち星が挙げられず、グアルディオラは監督キャリアで唯一、このシーズンだけ無冠に終わっている。

 それをふまえると、この連敗は成長の停滞というよりも、成功に必要なステップの途中にある踊り場、くらいに捉えることもできるだろう。当然、相手の対策も進んでいるし、ピッチの状態やジャッジに泣くこともある。

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