ベルマーレの勇気が生んだ同点弾。「他人事」だった決勝へ前進 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

 だから、記者会見で曺監督はこうも語っている。

「3年前、5年前はカップ戦の決勝が他人事のように見えていたものが、少しずつ、少しずつ、クラブとしてもいろいろとトライをしてきたから、今があると思っています。今日の試合では、選手たちがトライをして、そして成功したプレーが随所にあったということで、互角以上の試合ができたと思う。

 今まで、湘南ってよく走るよね、いいチームだよねって言われていたその後、みなさんが口に発しない(弱いという)ものをずっと感じながらやってきたんですけど、それではダメだなと思って長年やってきた。まだ90分が終わっただけですけど、(今日の試合は)次に向けて非常に力になったゲームだったのではないかと思います」

 その指揮官の言葉は、選手たちに確かな手応えとなって響いていた。ふたたび梅崎が語る。

「もちろん相手のチャンスもありましたけど、自分たちが主導権を握ってやっていくんだというところを見せられたかなと思います。それは本当に大きな進歩。

 前節のリーグ戦(1-0で勝利したJ1第29節のサガン鳥栖戦)は、僕らのサッカーが集約されていた部分はありますけど、そこからチームとして、もう一歩前に進んでいかなければならないのは僕自身も感じていたこと。曺さんもやっぱりというか、週明けの練習からそこを口酸っぱく言ってくれて、チームとしても満足していなかったのが、ひとつ大きなきっかけだったと思います」

 チームを救ったのは、躍動していた秋元や梅崎だけではない。20歳の金子や杉岡大暉、開始早々の1失点に臆することなく柏の攻撃を抑えた23歳の坂圭祐や24歳の山根視来、さらには途中出場した23歳のFW山口和樹ら、若い世代の選手たちが堂々とプレーしていたことも第2戦への弾みとなるはずだ。

 ただ、第1戦をホームで戦った柏がアウェーゴールの重みを十分に理解して、守備意識を高く持ち試合を戦っていたのも事実である。1-1で第1戦を終えた結果、状況が逆となる第2戦で、柏がそのアウェーゴールを奪おうと攻撃に出てくることは明白だ。

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