すべては強くなるために。7失点もコンサドーレはぶれずに戦い抜いた (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 発展途上ではあるものの、着実に成熟していく、上位を争うチームにまで成長を遂げたのだ。これまでに積み重ねてきたものに対する自信が、このチームには備わっているように思えた。

 こだわりを感じさせたのは、後半の戦い方だ。長身FWのジェイを投入し、都倉賢とのツインタワーを形成したが、決してロングボールに頼らず、しっかりとパスをつなぎながら、前へ前へと全体を押し上げた。その果敢な姿勢がカウンターの温床となったものの、それでも何度もミスを犯し、川崎Fの歓喜を繰り返し見せつけられながらも、札幌はそのスタイルをぶれずに、最後までやり遂げた。

「チーム作りの段階で、こういった負けは、すべてがマイナスとは思っていない。この時期にもう一度地に足をつけて、チームとしてやらなければいけない課題に取り組んでいくという意味では、今回の負けは我々にとってのいい教訓になると思っている」

 指揮官は強がりではなく、あくまで前向きに、この大敗を受け止めていた。

 実はペトロヴィッチ監督は、この等々力での川崎F戦で過去にも0−7の大敗を喫したことがある。それはサンフレッチェ広島を率いていた2009年のこと。昇格1年目で快進撃を続けた当時の広島は、シーズン終盤まで上位争いを演じていた。わずかに逆転優勝の可能性を残すなか、立ちはだかったのは同じく優勝を争う川崎Fだった。

 序盤に退場者を出したこともあり、川崎Fの猛攻をもろに浴び、失点を重ねていく。それでもリスクを負って相手ゴールに迫り、ボロボロになりながらもファイティングポーズを保ち続けた。7失点の屈辱を味わいながらも、広島の戦いには揺らぐことのない確かなスタイルがあった。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る