スペイン帰りの鈴木大輔は、
残留争いの柏レイソルをタフな信念で救う

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

「間に合うか、微妙なところですが、気持ちはいけますよ!」

 SNS通信アプリで届いたメッセージは、前向きだった。

 スペインで3シーズンを過ごした鈴木大輔が、古巣である柏レイソルへの復帰を発表したのは、9月9日だった。入団からわずか1週間での公式戦。しかも、最後の実戦は5月だっただけに、コンディションが万全なはずはない。

 それでもポジティブな姿勢を崩さないところが、鈴木らしかった。野心的だが、朗らかな性格で、粘り強く暗さがない。

「大輔のパーソナリティは、今のチームには大きいですね」(柏・MF大谷秀和)

 スペイン帰りのディフェンダーは、窮地にある柏を救えるのだろうか?

3シーズンぶりに柏レイソルに復帰した鈴木大輔3シーズンぶりに柏レイソルに復帰した鈴木大輔 9月15日、三協フロンテア柏スタジアム。15位と低迷する柏は、本拠地に清水エスパルスを迎えている。J1に残留するためには、落とせない試合だった。ところが、立ち上がりから攻守ともに足並みが揃わない。

 10分、清水は柏の守備が手薄な左サイドを狙っていた。サイドバックがボールを持ち上がり、中央横へ流したパスにFW北川航也が才気煥発なスルーでボランチを完全に引っ張る。一瞬にしてバックラインの前で視界が広がり、ポストプレーからボールを受けたMF竹内涼は一度コントロールする余裕を得て、狙い澄ましたようなミドルシュートを叩き込んでいる。

 柏の守備の破綻は明らかだった。選手それぞれがガムシャラに走り回るだけ。皮肉にもそれによってポジションがずれ、肝心なスペースを敵に譲り、アドバンテージを与えてしまう。その繰り返しで、防戦一方となった。

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