インターハイの新ルールで明暗。酷暑が生んだ高校サッカーの番狂わせ (2ページ目)

  • 川端暁彦●文 text by Kawabata Akihiko
  • photo by Kyodo News

 今夏は異例の猛暑にさらされたため、選手の安全対策が大きな議論となった。この総体で導入されたのは「クーリングブレイク+飲水タイム」という方式による熱中症対策だった。

 国際試合で採用されることもある一般的なクーリングブレイクは、前後半の半ばに3分間の休憩を挟む。選手は日陰で水分を補給したり、水を浴びて体を冷やしたりすることができる。また、この時間は作戦タイムとして活用してもいいことになっているため、このブレイクが挟まれる試合は通常の前後半2分割方式ではなく、4分割の"クウォーター制"のような戦いに様変わりすることになる。

 今回はこのクーリングブレイクに加えて、飲水タイムも追加された。これはもともと日本独特のやり方で、タッチライン沿いに選手を集めて1分半の水分補給タイムを取る。通常は暑さ指数(WBGT)に応じてどちらかを採用するのだが、今回は両方を採用した。35分ハーフに設定されている試合のうち、まず15分ほどでクーリングブレイク。さらに30分経過で飲水タイムを取る形である。

飲水タイムで水分を補給する選手たち photo by Kawabata Akihiko飲水タイムで水分を補給する選手たち photo by Kawabata Akihiko「30分に飲水タイムを取るなら、残りは5分しかないじゃないか」と思われるかもしれないが、この2つの休憩で約4分半のアディショナルタイムが自動的に発生するため、通常の試合進行で生じる3分程度のアディショナルタイムと合わせて、今大会は8分ほどのアディショナルタイムが一般的になった。「残り5分」だった試合が「残り約13分」になるため、前後半ともにだいたい3分割される。つまり、試合全体が6分割されるようになったということだ。

「鍛えているチームにとっては不利なルール」

 大津の平岡和徳総監督は「選手の安全が第一なのは当然で仕方ない」と強調した上で、こう述べた。なぜかといえば、「相手を疲れさせるのもサッカー」(同総監督)だからだ。

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