崖っぷちガンバ。「最大限の力を注ぐ」ツネ様の進撃はこれから始まる (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そうした変化を早急にチームに見出すために、宮本監督は自身がU-23チームで育て、氏のサッカーを熟知しているMF高宇洋、MF高江麗央、FW一美和成らをトップチームに昇格させ、かつ、この3試合では前者ふたりを先発で起用している。

 もちろん、彼らはまだまだ荒削りなところも多く、J1の質、スピード感に後れをとるシーンがないとはいえない。だが、先に挙げた鹿島戦を含め、"宮本ガンバ"が戦ったここまでの3試合は、いずれも中3日のハードスケジュールで行なわれ、チームを熟成させる十分な練習時間が確保できなかったことを考えても、彼らの抜擢は"宮本イズム"を浸透させるうえで得策だったといえる。

 とはいえ、だ。

 そうした変化が見られ、また選手も口々にその手応えを語ってはいるものの、如何せん、この3試合は2分1敗と結果を出せていない。

 とくに直近の名古屋グランパス戦では、2点のリードを奪いながら逆転負けとショッキングな敗戦に終わっている。残留を争う相手だけに、その打撃は相当だろう。

 また、勝負の世界において、"結果"こそが選手の自信を深め、チームを変化させるための最大の"良薬"だと考えれば、その投薬ができずに3試合を終えたことによる"ブレーキ"も否定はできない。

 だが、半年をかけて形にならなかったチームが、監督が交代したからといって、就任からわずか10日で形になるほど、この世界は甘くない。

 だからこそ、この先、求められるのはチームとして我慢強く、辛抱強く、気持ちを切らさずに、勝ちを求め続けられるか。クラブを挙げて、このタイミングでアカデミー一期生のクラブレジェンド、宮本恒靖を監督に据えた責任を背負って戦い抜けるか、だ。

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