プロ生活23年の明神智和「引退を考えると正直、怖い。というか、不安」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 なのに、正直(多くの選手が)サッカーでお金をもらっていることへの責任感、自覚がまだまだ薄いからか、上を目指せる環境にあるという状況に対して、どこか本気になり切れていない。ここで活躍すれば、1選手としてもっと上のステージにいける可能性もあるし、そうなればもっと痺(しび)れる瞬間を味わえるのに、そこを現実的に描けないからか、どこかJ3でプレーしていることに納得してしまっているようにも見える。

 はっきりいって、このステージで活躍できなければ、プロとしての選手生命は終わってしまうのに、そこへの危機感もあまり感じられないですしね。そこを、僕も含めた全選手が見直さなければ、現状からは抜け出せないし、目標にも手が届かない。だからこそ、チーム全体がもっと"昇格"という目標に対する本気の覚悟をもって、向き合わなければいけないと感じています」

 それは、自分自身にも言い聞かせてきた言葉でもある。

 先に記したように、彼自身が"3つの要素"のもと、現役選手を続けているのは事実だが、目標に描くのは単に、現役を続けることだけではない。その先にある『チームの勝利』だ。だからこそ、それを自らの手でつかみ取り、J2昇格を実現するために全力を注ぎたいと語気を強める。

「当たり前のことですけど、自分が活躍してチームが勝つための力になるというのが、僕にとってのサッカー選手としての基本です。だから、自分を磨こうと思うし、試合に出るための努力をしようとも思う。

 いや......努力というのも違うかな。応援してくれる人がいて、僕たちの試合を、自分の時間とお金を費やして観に来てくれる人がいることに対して、その数に関係なく、最高のプレーをピッチで見せるための準備をするのは当たり前のことですから。

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