J2京都に恐怖の「魔神」がいた。降格圏に沈むチームを10分で救う (2ページ目)
そこでこの日、京都は前半、4-4-2を採用している。2トップにスピードがあって、背後にランニングできる選手を起用。相手のラインを下げる狙いで、早めにクロスを入れ、ボールを失うリスクを回避していた。
もっとも、ボールを前に運ぶところでのミスはやはり多かった。つっかけられ、ボールを失い、ファウルをし、自陣でセットプレーを与える。そして波状攻撃を受け、いたずらに危ういシーンを増やしていた。
「セットプレーのシーンでは、みんなが集中して守れていた」(京都・FW岩崎悠人)と言うように、どうにか失点は防いでいたものの、じりじりと消耗する状況だった。
後半に入って4-3-3にシステムを変更。中盤を厚くしてボールを握る力を強めようとするが、戦況は好転しない。
すると、優位に立っていた水戸はさらに攻勢を強めた。後半はクロスのヘディングやミドルシュートなどで好機を増やし、ゴールの予感が濃厚に漂った。
「点を取るところまでは非常に流れがよく、プレーの長所も出せていた」(水戸・長谷部茂利監督)
77分、左右からの攻撃で揺さぶった後だ。右サイドからクロスを打ち込み、クリアされるもまた拾い、エリアに入ったところで京都のDFが慌てて手を出し、PKを拾う。この日、躍動していたFW岸本武流がこれを豪快に蹴り込んだ。
水戸は勝利を確信したに違いない。
ところがその1分後、1人の選手の投入で試合は一変した。
FWレンゾ・ロペスに代わって登場した田中マルクス闘莉王は、前線で群を抜いた存在感を見せた。
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