大宮アルディージャ、降格のJ2でも崖っぷち。本当に浮上できるのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 森田直樹/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 大宮アルディージャは昨シーズン、J1から降格した。当然、戦力的にはJ2では恵まれており、昇格争いを引っ張るべき立場だ。それが開幕以来、2勝1分5敗と黒星が先行。第8節終了段階で22チーム中18位と、昇格どころか降格のほうが近いポジションに立たされている。

 はたして、大宮は浮上できるのか?

ファジアーノ岡山戦で先制ゴールを奪った大前元紀(大宮アルディージャ)ファジアーノ岡山戦で先制ゴールを奪った大前元紀(大宮アルディージャ)

 J2第9節。4月14日、大宮はNACK5スタジアムに首位を走るファジアーノ岡山を迎えている。

 大宮はチーム得点王のロビン・シモビッチを外し、より勤勉で守備にパワーを使う編成にした。それが序盤は功を奏する。「J1の圧力」というべきか。岡山をばたつかせ、試合のイニシアチブを握る。

 そして9分だった。左サイドで幅を作りながら、何本かパスを出し入れすると、岡山のラインをずらし、ギャップを作ることに成功。食いつかせ、ワンツーで抜け出た河面旺成(かわづらあきなり)が、左足でクロスを折り返す。これはヘディングでクリアされるが、すかさずエリア内の嶋田慎太郎に通すと、嶋田はフリックで大外の大前元紀へ。岡山のディフェンスは一瞬で無力化し、マークを外していた大前がヘディングで叩き込んだ。

「(人数は揃っていたが)相手はボールウォッチャーになっていたので、きたボールに合わせた」(大宮・FW大前元紀)

 だが、リードした大宮は、これでひと仕事を終えたかのようにトーンダウンしてしまった。守備ブロックを作り、相手の攻撃を受け止める。それはひとつの狙いだったが、単なる人海戦術に近かった。

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