お荷物クラブ、グランパスが初タイトル。
ベンゲルのサッカーで勝てた (2ページ目)
しかし逆に、インターバルなく天皇杯に臨めたことがグランパスに幸いした。大岩剛(ごう)が分析する。
「リーグ戦の勢いをそのままに天皇杯に突入できたのが大きかったと思います」
1回戦で京都サンガを2-1で下したグランパスは、2回戦で横浜フリューゲルスを4-1で、準々決勝でヴィッセル神戸を2-0で撃破。準決勝では苦手にしていた鹿島アントラーズに5-1と大勝を飾り、初めて決勝へと駒を進める。
天皇杯の決勝でサンフレッチェ広島と対戦したグランパス photo by AFLO この時点で小倉には、優勝する予感があったという。
「勢いに乗っていて、負ける気がしませんでした。優勝するチームって、こんな感じなんじゃないかなって思いましたよ。俺は、準々決勝でイージーなシュートを外してすぐに交代させられて、ベンゲルにめちゃめちゃ怒られたんだけどね」
1996年の元日、国立競技場は決戦にふさわしい快晴に恵まれた。初タイトルを懸けて戦う相手は、サンフレッチェ広島である。その試合前のミーティングは10分で終わった。
重要なゲームであればあるほど、ベンゲルのミーティング時間は短い――。
難しいことをする必要はない。いつもどおりグランパスのサッカーをするだけだった。
ファイナル独特の緊張感に飲まれることなく、グランパスの選手たちは躍動した。前半18分、左サイドからドリブルで中央に切れ込んだ平野孝が2人を抜いてゴール正面の小倉へ。小倉の放った左足のボレーシュートがゴールネットを揺らし、グランパスが先制する。
後半7分には、左サイドを突破した平野のクロスをストイコビッチが強烈なボレー。これはGKにブロックされたが、こぼれ球を小倉が右足で押し込んだ。
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