ベガルタ仙台の開幕2連勝は「不吉な兆候」か? 昨季との違いを検証 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 選手や監督から、こうした言葉が聞かれるのは、当然彼らに自戒の思いがあるからに違いない。だが、それと同時に、昨季の失敗を堂々と口にできるのは、同じ轍(てつ)は踏まないという自信の裏返しでもあるのだろう。石原が語る。

「苦しい時間でも我慢できて、ゼロ(無失点)に抑えられたことが勝ち点3につながった。去年は(リードしている試合で)もう1点取りにいくのかどうか、ゲームの終わらせ方を失敗したことがあったが、同じ失敗を繰り返さずにできている結果が、2試合連続の1-0に表れている」

 石原が言うように、FC東京戦の仙台も90分間、思いどおりに試合を進められたわけではなかった。それどころか、FC東京が開幕戦からフォーメーションを変えてきたことで「選手が戸惑い、正直、後手を踏んだ部分があった」(渡邉監督)。前半は押し込まれる時間が長く続いた。

 しかし、ピッチ上の選手たちは冷静に状況を判断し、「(中盤でミスマッチが起き、プレスが)ハマっていなかったので、3トップの1枚が下りて中盤の枚数を増やそうと話していた」(FW野津田岳人)。

 その結果、「立ち位置(選手のポジショニング)を変えてから、落ち着いて試合を進められた」と渡邉監督。「僕が言わなくても、彼らは自分たちで判断してやれている。そこは選手の成長だと思う」と、ピッチ上の判断を称えた。指揮官が続ける。

「うまくいかない時間が長くても、自分たちがやりたいことをやるのではなく、相手が嫌がることをやるのを念頭にゲームを進めよう、と。後半はFC東京が嫌がることを攻守にやれた」

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