今季のエスパルスは「残留争いなんかしない」という、これだけの根拠 (2ページ目)

  • 望月文夫●取材・文 text&photo by Mochizuki Fumio

 重視する守備においては、ブロックを作って相手選手をできるだけ危険なエリアに侵入させないことを徹底しているが、指揮官が最も要求しているのは、そのベースとなる部分。球際でしっかりと戦う強い意識を持って、実際にその姿勢を見せることだ。

 最近では日本代表のハリルホジッチ監督が言う「デュエル」という言葉で知られるが、ヨンソン監督も「(相手に対して)常に強い気持ちで向かうこと」を選手たちに強く求めている。

 その姿勢はチーム内に徐々に浸透。選手たちの中でも自信が芽生えている。鄭大世が言う。

「(チームが)今目指している戦い方なら、強い相手とやっても、そう簡単に失点することはないと思う。積極的に攻めてくる相手、例えば開幕戦でぶつかる鹿島アントラーズのようなチームが相手なら、より戦いやすいと思う」

 昨季までは、とりわけホームの試合ではボールをつなぐことを意識したサッカーを実践していた。しかし得点を奪えず、逆に相手のカウンターの餌食となり、失点を重ねて負ける試合が目立っていた。

 今季はそれとは反対に、強固な守備からのカウンターで得点を重ねて勝ち切る、そんな試合が多くなりそうだ。そうなれば、勝ち点の積み上げも大いに期待できる。

 以前は強かったホームで、昨季は3勝2分12敗、勝ち点11とリーグワーストの成績だった。片や、アウェーでは5勝8分4敗、勝ち点23とまずまずの結果を残している。ホームでもアウェーレベルの勝ち点を稼ぐことができれば、厳しい残留争いからも脱出できるはずである。

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