2018.01.23

名古屋にフットサル日本一を奪還させた
「スペインで認められた男」

  • 河合拓●取材・文・撮影 text & photo by Kawai Taku

 2018年1月21日、名古屋オーシャンズは本来いるべき場所に立ち返った。

 この日、Fリーグプレーオフ・ファイナルステージの第2戦が行なわれ、名古屋オーシャンズはペスカドーラ町田に6−2で勝利。前日の第1戦と合わせて2連勝し、2年ぶり10回目となるFリーグ制覇を成し遂げたのだ。

3シーズンぶりに名古屋の一員として戦った吉川智貴 そのチームで中心的な役割を果たしたのが、FP(フィールドプレーヤー)吉川智貴(よしかわ・ともき)だ。昨シーズンまで2シーズンにわたり、スペインのマグナ・グルペアへ期限付き移籍。マグナ・グルペアに加入した当初はチームメイトたちからも懐疑的な目で見られていたが、すぐにイマノル監督に認められて出場機会を掴んだ。

 もともと守備能力の高かった吉川自身が「ちょっとずつ余裕を持ってプレーできるようになった」シーズン終盤に主力となると、スペインでの2シーズン目で完全にチームの中心選手となる。試合では、元名古屋オーシャンズで世界最優秀選手賞を現在5年連続で受賞しているリカルジーニョなど、世界の超一流選手をマークする役割を求められた。

 そしてその年、クラブは国王杯で同クラブ史上初となる決勝に進出。決勝ではエルポソ・ムルシアに敗れたものの、スペインの主要大会のファイナルを戦った初めての日本人選手となった吉川は、ファンやサポーターからも「ヨシカワ、どこにも行かないでくれ」「名古屋に戻らないで残ってくれ」と声をかけられるほどの人気を獲得していた。

 スペインのフットサルリーグであるリーガ・ナシオナルの2017−2018シーズンが開幕する前、吉川にはマグナ・グルペアから契約延長のオファーが届いた。世界最高峰のリーグで戦いたいと願っていた吉川にとって、このオファーはありがたいものだった。

 しかし同時に、ある責任を感じていた。2016−2017シーズン、彼の移籍元のクラブである名古屋オーシャンズがFリーグ元年から守り続けていたリーグ優勝のタイトルを逃したのだ。