エスパルスに悪夢の再現はあるのか。怖いのは「降格に怯える心理」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Takashi Aoyama - JL/Getty Images for DAZN

 特に後半65分を過ぎたあたりからは左右にボールを散らし、怒涛の連続攻撃。サイドへのスライドが間に合わない広島ディフェンスは、中央を固め、入ってくるボールをどうにかはね返すしかなかった。

 そして生まれた同点ゴール。相手のクリアを拾ったFW北川航也が右サイドから上げたクロスを、ゴール前で待つFW鄭大世(チョン・テセ)が相手DFの前に体をねじ込み、頭で押し込んだ。

清水にとって、得点源の鄭大世が復帰したのは大きいが...清水にとって、得点源の鄭大世が復帰したのは大きいが... 試合展開を考えれば、これで試合の流れは完全に清水である。

 ところが、清水は2点目を奪えないばかりか、ロスタイムの91分にカウンターからFWパトリックに決められ、広島に勝ち越しを許すと、同96分にも再びカウンターから失点し、万事休す。終わってみれば、1-3。またしても複数失点を喫しての敗戦だった。

「前半途中からいい攻撃をしつつ、(交代の)カードを切りながら点が取れたが、そこからもっと守備的に、というところが出せたらよかったのかもしれないが......」

 そう語る清水の小林伸二監督は、顔にはうっすらと笑みも浮かび、穏やかな表情ながら、話す言葉は歯切れが悪い。同点に追いつき、そこからどう試合を進めるべきだったのか。そんな悔恨(かいこん)が少なからずうかがえる。指揮官が続ける。

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