ラモス、カズ...夢舞台を手作りした
永井秀樹「引退試合」ドキュメント (4ページ目)
20代でサッカーをやめていたら
今の自分はない
引退試合の当日、東京都内の各地は豪雨に見舞われた。だが、西が丘サッカー場周辺は、引退試合が開催されている間、雨が降ることはなかった。"奇跡"の連鎖なのか。永井もこれには驚きを隠せなかった。
「サッカーの神様、そして天国で見守ってくれた祖母と父、さらにF・マリノスで一緒に戦った同志、(松田)直樹が助けてくれたのだ、と思った。そうでなきゃ、西が丘だけ雨が降らないなんて、どう考えても信じられない」
ヴェルディに始まって、福岡ブルックス(現アビスパ福岡)、清水エスパルス、横浜フリューゲルス、F・マリノス、大分トリニータ、FC琉球と、実に7つのクラブでプレーした永井。西が丘のスタンドには色とりどりのクラブの横断幕が掲げられ、かつて、それぞれのクラブの優勝や昇格に貢献した功労者をねぎらった。
永井が自らの現役時代を改めて回想する。
「『スター軍団』と呼ばれた読売クラブ、ヴェルディでプロ生活を始めて、エスパルス、フリューゲルス、F・マリノスと、20代の頃は本当に恵まれた環境で、多くのタイトルも手にして、充実したサッカー人生を過ごすことができた。そんな20代、(当時は)そのピークの状態で引退しようと考えていた。
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