鎌田なきサガン鳥栖はどう戦うのか。イタリア人指揮官が示す戦術の功罪 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Kiyoshi Ota-JL/Getty Images

 ところが、イバルボのシュートだけは一向に入る気配がない。

 一方、横浜はMF齋藤学が左サイドで完全に主導権を握る。齋藤はボールを握る力が強く、失わない。それを信頼した選手たちが動き出せる。また、相手が潰そうとして無理に間合いを詰めてくると、齋藤はそれをひらりとかわし、さらに選択肢を広げる。

 そして9分だった。齋藤が生み出した攻撃の渦が、鳥栖を飲み込んだ。攻撃を受けた後、自陣左サイドでボールを受けた齋藤は、2人をひきつけると前方に走った左サイドバックの山中亮輔にパス。山中はこれを難なくドリブルで持ち込むと、齋藤が外側を全速力で駆ける。マーカーが齋藤をケアせざるを得なくなったところで山中が左足を振り抜き、GKが弾いた瞬間、ウーゴ・ヴィエイラが押し込んだ。

「早い時間帯に失点したせいで、横浜は(守りを固めて)カウンター中心のゲーム運びをするようになってしまった」(鳥栖・フィッカデンティ監督)

 結局、後半途中まで鳥栖はほぼ攻め手がない状況が続いた。

 試合に動きが出たのは、残り20分にさしかかろうとしたあたりからだった。豊田陽平、池田圭という鳥栖を支えてきた2人のFWが交代で登場。豊田が力強く空中戦を制し、池田が献身的に走ってスペースを作り、ラインを下げた横浜を押し込む。左右からクロスの雨を降らせるも、あと一歩で陥落できなかった。

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