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広島・森保監督の退任に思う。
クラブはビジョンを見失っていないか (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 綴(つづ)ってきたように、確かに成績不振の責任はチームを束ねる指揮官にある。ただし冒頭で、少しずつ蝕まれていったと記したように、その兆候はだいぶ前から見られていた。

 そもそも広島は、育成型クラブだった。森﨑和幸がその象徴であるように、かつてはユースから昇格した選手たちがトップチームに多く名を連ねていた。

 ところが、2012年にクラブ史上初のJ1優勝を成し遂げたことで状況は一変する。そのサッカーに見惚れた選手たちが広島でプレーしたいと集まるようにもなったし、実際J1連覇を成し遂げるほどの実力がある選手たちが揃ってもいた。そうしたなかでも、森保監督は一時期、世代交代を図ろうとした。その起用はかなり強引にすら映ったが、それは森保監督がクラブの未来を見据えていたからに他ならない。

 もちろん、若手選手たちが主力を脅かすほどの結果を示せなかったという背景もある。だが、FW浅野拓磨(シュツットガルト)の海外移籍はいい意味での誤算だったとはいえ、MF川辺駿(ジュビロ磐田)、MF野津田岳人(清水エスパルス)、MF宮原和也(名古屋グランパス)といった次世代を担うはずだった選手たちを、こぞって安易に期限付き移籍させる事態に陥っている。

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