J1で首位争いの柏とC大阪。共通点は「育成型」と「監督の決断力」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 C大阪も柏と同様に、ユン・ジョンファン監督が前線からの守備に手を打ったことが転換点になっている。ただし、ユン監督の一手は大胆だった。C大阪には清武弘嗣や柿谷曜一朗など、トップ下のポジションで実績を持つ選手がいる中、ユン監督がこのポジションに置いているのは山村和也だ。

 山村は、ロンドン五輪代表や鹿島アントラーズ時代は、主にボランチやCBを務め、加入したC大阪でも、昨シーズン任されていたのは同じようなポジション。言わば"守備の人"である山村を、攻守の要である司令塔にコンバートしたのだ。

 山村のトップ下での起用は、当初は前線からの守備を期待してのものだと思って見ていた。だが、今では"不動のトップ下"と言えるほどの存在感がある。ボールが収まり、ヘディングも競り勝てる。そして何より、得点が取れる(15節終了時点で6得点)ことが最大の強みだ。彼の攻撃面での仕事ぶりは失礼ながら予想外だった。そこに目をつけたユン監督の「選手を見る目」の高さに驚いている。

 もともとC大阪は、若く才能豊かな選手が多く、ツボにハマれば相手を圧倒するが、反面、安定感に欠ける脆さも併せ持つチームだった。そうした部分が、山村の起用後はどんな試合展開でもなくなり、粘り強く戦うチームに変貌していった。その結果、安定して勝ち点を積み重ねられている。

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