J1で首位争いの柏とC大阪。共通点は「育成型」と「監督の決断力」 (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ただ、柏とC大阪がこのまま突っ走るためには、まだ乗り越えなくてはならない障壁がある。長いシーズンを戦っていく中では、必ず好不調の波があり、首位争いの疲労感やプレッシャー、負けることへの恐怖心も生まれる。

 前半戦は、ハードワークをしてツキも呼び込みながら勝ち続け、チームに好循環が生まれた。だが、同様の戦いをしても結果が伴わなくなったり、ミスを恐れてチャレンジできなくなったりすると、そこからリズムを崩すことも十分に考えられる。中村航輔(柏)、キム・ジンヒョン(C大阪)と、どちらもGKの調子がいいため大崩れはしないと思うが、苦しい状況になった時に、いかにチームを立て直せるかがポイントになるだろう。

 そこで柏のカギを握るのが、中盤の要であるキャプテンの大谷秀和だ。柏の選手たちはアカデミー育ちの若手が多く、コンビネーションに優れる反面、経験が不足しているため、うまくいかなくなると修正しきれない可能性もある。そうしたときに、アカデミー育ちで百戦錬磨の32歳がいることの意義は大きい。また、ベンチにも細貝萌や栗澤僚一という経験豊富なベテランが控えているのも頼もしい点だ。

 さらに、現状ではベンチを温めている外国人選手を、下平監督がどうマネジメントするかもポイントだ。チームがつまずいた時に彼らの起用が起爆剤になればいいが、出番に飢えていた外国人選手が試合に出ると、好き勝手なプレーをしてチームがバランスを崩す危険もある。ディエゴ・オリベイラはいい選手だが、クリスティアーノと共存させると守備がうまくいかなくなる印象が強い。それだけに、下平監督が攻守のバランスを取りながら、彼らをどう起用するかに注目したい。

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