歴史は繰り返すのか。フロンターレのJ2降格が頭をかすめた今季初戦 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 鬼木監督が「前半はいい形で進んでいた」と振り返ったように、確かに前半は川崎が優勢に試合を運んでいた。敵陣に攻め込む回数で上回り、実際、10分にはFW小林悠が先制点を奪っている。その後も、今季新加入のMF阿部浩之(ガンバ大阪→)が惜しいシュートを2本放つなど、追加点のチャンスを作った。

 だが、結果としてチャンスが生まれたかどうかはともかく、本当の意味での「川崎らしさ」がどれだけ試合内容に表れていたかというと、はなはだ疑わしかった。

 低い位置からショートパスをつないで攻撃を組み立てようとするのだが、縦へのパスコースを作り出せず、なかなかボールを前に運ぶことができない。その結果、強引な縦パスやDFラインの背後を狙った長いパスが増え、ボールが自陣と敵陣の間を行ったり来たりする展開が多くなった。

 いいときの川崎は、ショートパスを縦に出し入れしながら、相手をジワジワと後退させることができる。だから、結果的に攻撃を止められても、すぐにセカンドボールを拾うこともできる。一発のパスやドリブルで仕留めるというより、ボールを支配し続けることで、真綿で首を締めるように相手を追い込んでいくのだ。

 ところが、この日の川崎はテンポよくパスが回らず、それに合わせてミスも増え、武器であるボールポゼッションがまったく安定しなかった。ボールの奪われ方も自然と悪くなり、相手に攻撃機会を与えることも多かった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る