「選手のほうが楽」という感覚。
だから三浦知良は50歳でも少年なのだ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 多くの選手が長袖ユニフォームを着用するなか、カズはまるで少年のように半袖ユニフォーム姿でピッチを走り回った。前半の45分間の出場にとどまったものの、試合後のカズは充実の表情を浮かべていた。

「試合に挑む緊張感というものを、鹿島アントラーズというチームは常に持っている。僕たちとは力の差があると思うけど、そうした相手に対して緊張感のある試合の入り方ができましたし、自分自身もやっているなかで、本番に近いようなシチュエーションがすごくたくさんあった。リーグ戦に近い雰囲気だったので充実感があったし、タメになる45分でした」

 土曜日開催の試合であり、J1王者とカズが対峙する一戦とあって、会場にはプレシーズンでは異例の6000人以上の観衆が訪れていた。しかし多くのファンの前で、カズはほとんどの時間帯で守備に追われ、ボールに触る機会も限られた。見せ場の少ない45分間だったのは確かだった。それでもカズは、この状況は想定内だったと振り返る。

「本来ならば攻撃をたくさんしたいですし、攻撃での連係をもっと多くしたい。見せどころを増やしたいのは正直な気持ちですけど、鹿島相手にそれほどできないだろうとは思っていた」

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