すべてはレアルを倒すために。ジュビロ黄金期の「N-BOX」とは何か (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi

 そんな試合内容と同じくらい鮮烈なインパクトを残したのが、この日の磐田が採用した特異なシステムだ。

 メンバーリストには、3人のディフェンダー、5人のミッドフィールダー、2人のフォワードの名前が記されている。いわゆる3−5−2である。ところが、中盤の5人がダブルボランチ、両ウイングバック、トップ下で構成される従来の3−5−2とは大きく異なり、俯瞰して見ると「サイコロの5の目」のように並んでいる。

 右の攻撃的ミッドフィールダーに藤田俊哉、左の攻撃的ミッドフィールダーに奥大介、右のボランチに福西崇史、左のボランチに服部年宏、そして、その4人を結んだ四角形の真ん中に名波がいた。

 一般的な3−5−2におけるウイングバックのような、サイドを主戦場とする選手はひとりもいない。それなのに、ピッチ上ではサイドを含めたあらゆるエリアで磐田の選手たちが数的優位を作り、鹿島の選手に襲いかかってはボールを刈り取っていく――。まるで、磐田がひとり多い人数で戦っているかのようだった。

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