中村憲剛の司令塔は妻「彼女と
出会って、僕の人生はすべてが好転した」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 恩師、チームメイト、そして家族......ボールを蹴れば蹴るほどに感謝する人は増え、その思いも募っていく。

「僕は、23、24歳で最優秀選手に選ばれたわけじゃない。この36年間、プロになってからの14年間の積み重ねがあって、たまたまと言ったら語弊がありますけど、チームが優勝争いをして、個人的にも数字を残せたことで、今回MVPを受賞することができた。だから、これからもその姿勢は変わらない。ただ、アウォーズのときに思ったのは、やっぱり優勝チームからMVPが選ばれなければならないということ。誰もが疑問を抱かないくらい文句のない形で、またあの賞をもらえたらなって思います」

 元日に行なわれた天皇杯決勝では、鹿島アントラーズに延長の末1−2で敗れ、またしてもタイトルに手が届かなかった。チャンピオンシップでも天皇杯でも悔しさを味わい、枯れそうなほど涙も流した。

 だが、プロにすらなれるかどうかわからなかった少年が、36歳でJリーグのMVPに選ばれたように、不可能なことはひとつもない。それを教えてくれたのは、他ならぬ彼自身である。来る新シーズン、中村憲剛が目指すものを説明する必要は、もはやないだろう。

>>中村憲剛インタビュー前編も読む>>

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