2017.01.14

中村憲剛の司令塔は妻「彼女と
出会って、僕の人生はすべてが好転した」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、あのスピーチには続きがあった。「僕の間(ま)の取り方が悪かったのかもしれない」と、中村は大切なことを言いそびれてしまったことをはにかむ。本当は最後に「普段は照れくさくて言えない」という妻・加奈子さんへの思いを伝えるつもりだったのだ。

「何よりも妻に感謝したい」

ずっと支えてくれた夫人への感謝の気持ちを語る中村憲剛 中央大学サッカー部が関東2部に降格した4年生のときに、マネージャーとして入ってきた加奈子さんに出会ったことで、「僕の運命は変わった」とまで言う。

「それから、関東2部リーグで優勝して1部に復帰できたし、僕はフロンターレに入ることができた。その後、フロンターレもJ2で優勝して、J1で優勝争いできるようになって、僕自身は日本代表にも選ばれて......彼女と付き合って結婚してから、僕の人生は落ちてないんですよ」

 大学時代は特に「頑固だった」と言う中村は、加奈子さんと付き合い、ともに時間を過ごすことで、人間的にも成長した。

「もともと僕は口が悪いというか、思ったことをズバッと言ってしまうところがあったんです。真っ直ぐすぎて、特にサッカーのことになると、すぐに熱くなってしまうというか。それが、彼女と付き合うことで、多少丸くなったというか(苦笑)。あと、彼女が卒業間際に、当時のJリーガーの平均引退年齢が26歳だというニュースを見て、もし僕がクビになったら『私が働いて稼ぐ』と自分に言ってくるくらい彼女は自立心が強くて、今も3人の子どもを育てながら、自分のこともあれこれやっている。僕はもう4人きょうだいのひとりって感じで、家では彼女が司令塔です(笑)」