自由な遠藤保仁「レギュラーを外されたぐらいじゃ、引退しないよ」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●構成 text by Sato Shun
  • 説田浩之●撮影 photo Setsuda Hiroyuki

 逆に、その当時はできなかったプレーが、今はできることもある。自分の武器を大切にしつつ、まだまだできないことにもトライする。全力でがんばってダメなら、そこは他の選手にカバーしてもらえばいいし、逆に周囲の選手ができないことを自分がやればいい」

『黄金世代』の同期、小笠原満男(鹿島アントラーズ)や、小野伸二(コンサドーレ札幌)、稲本潤一(札幌)らも、まだ現役で奮闘している。それでも"引退"の足音はヒタヒタと近づいているに違いない。その点の見極めについて、遠藤はどう考えているのか。

 例えば、プロ野球のセ・リーグを制した広島カープの黒田博樹投手(41歳)は、今季10勝を挙げて「まだやれる」と惜しまれながら引退した。この引き際は、遠藤の目にどう映ったのだろうか。

「カッコいい、やめ方だよね。アメリカでもやれる状況にありながら帰国して、古巣の広島に戻って、チームを優勝に導いて引退。これって、理想的だよ。やめると決めたときは、きっとやり切った感があったんだと思う。

 俺はどうかなぁ......。周囲に『まだやれるでしょ』って言われたら、『あ、そう』って、そのまま続けるかもしれない。だって、引退する基準がないからね。レギュラーを外されたぐらいじゃ、やめない。外されたら、全力で奪い返しにいくだけだし、その作業が面白いんだよ。でも、ヨウスケ(井手口)から奪い返すとかはないけどね(笑)。自分の中で、やり切った満足感と、『楽しかったなぁ』と思えたら、やめるだろうね。いつになるか、わからんけど」

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