なぜか失点しない鹿島。神がかった「勝負強さ」で初のクラブW杯決勝へ (5ページ目)

  • 浅田真樹●文text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影photo by Sano Miki


 それにしても、Jリーグチャンピオンシップから続く鹿島の勢いは、ちょっと神がかっている。

 1回戦のオークランド・シティ(ニュージーランド)戦は先制を許すなど、心もとない内容に終始した。続く準々決勝のマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)戦も、前半で大量失点していても不思議はないほど相手に圧倒された。そして、このアトレティコ戦は記述の通りである。

 にもかかわらず、3試合通算で得点7、失点1の3連勝。その強さは、もはや理屈では説明がつかない。DF昌子源がうっすらと苦笑いを浮かべて語る。

「(自分たちが)努力したり、チームのためにやったりすることによって、普段起こりえないことが起きたり、相手のシュートがポストに当たったりして、完全に試合の流れが相手に傾いていたのがちょっとずつこっちに傾いてきた。(2点目の場面ではGKに当たったボールが)ヤッさん(MF遠藤康)の前にこぼれてくるんだから......」

 無失点勝利の立役者でさえ、こう言うしかないのだから、鹿島の勝因を問われれば、結局は「勝負強さ」という言葉に頼るしかなくなってしまう。だが、身もふたもない言い方をするならば、勢いに乗っているチームというのは、そういうものなのだろう。

「危ない場面もあったが、今の鹿島は『そこで失点しない』」

 ダメ押しの3点目を決めたFW鈴木優磨が口にした、そんな言葉はまさに今の鹿島を言い表していておもしろい。根拠のない自信と言ってしまえばそれまでだが、そんな強気な姿勢が説明不能なほどの勢いを生み出している。

 内容が悪くても悪いなりに勝つ――。この3連勝こそ、鹿島がJリーグ屈指の常勝軍団たるゆえんなのである。

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