海外サッカーではもう常識。昌平高校が試験導入したGPSデバイスとは (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

 さらに、練習でデバイスを継続して使用し、測定された数値の推移を追うことで、選手の体調管理にも役立てることができるという。実際、プレミアリーグのクラブでは、トレーニングでトップスピードが低下していた選手のケガの発見につながったという事例もある。2011年にシステムを導入したレスター・シティが昨シーズン、選手の疲労を考慮し、シーズン半ばに異例の1週間オフを与えてプレミアリーグを制したことは記憶に新しい。

アタッシュケース型の装置にGPS受信機を差し込むと、USBで簡単にデータが取得できる (撮影:田中亘)アタッシュケース型の装置にGPS受信機を差し込むと、USBで簡単にデータが取得できる (撮影:田中亘) データの活用法については、システムが実戦で使われてこそ問題点が改善され、新しい発見があるものだ。しかし、指導者の感覚によって強化が行なわれる傾向が強い日本では、「データを科学する」という考えにまだ抵抗があり、そのことがGPSデバイスの普及が遅れている原因になっていると長谷川教授は話す。

「海外では、各チームがデータを共有して強化を行なう段階まできています。ですが、日本にはそもそもデータを活用できる人材が少ない。あるJリーグのクラブに説明に行ったときは、『このシステムを導入するなら、その費用を外国人選手の獲得に回したほうがいい』とまで言われましたよ。それが、わずか数年前の話ですからね。

 補強などによる一時的な強化でなく、データを積み重ねて引き継いでいくという長期的にチームを育てる意識がもっと広まってほしい。それが、日本サッカー全体のレベルアップにつながるはずです。Jリーグのクラブが見本となるのが一番ですが、しっかり活用法を考えて実践してくれる強豪校であれば、高校でもその役割を担えるんじゃないかと思います」

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