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単に残留しただけのアルビレックス新潟。
これでは降格の日も遠くない (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 日刊スポーツ/アフロ●撮影 photo by Nikkan sports/AFLO

 当然、スタジアムのあちらこちらに情報は届いていたに違いない。目の前の試合では、21分に新潟が広島に先制を許してもなお、悲鳴が響くことも、嘆息がもれるようなこともなかった。

 サポーターで埋まったスタンドも、新潟の番記者が多くを占めていた記者席も、落ち着いたものだった。前半のうちに名古屋が2失点目を喫したとの報が届くと、スタジアムの空気はさらに緩んだ。

 ピッチ上の選手たちにも、何が何でも同点に追いつこうとする姿勢は見られなかった。FW成岡翔が語る。

「(他会場の途中経過によって)1点を取りにいくとか、勝ちにいくとかいうときは(ベンチから)指示が出ることになっていた。何も指示がないということは、このままでいいということだと思っていた」

 ここで無理に同点を狙って攻めに出て、失点を重ねるような事態だけは避けたい。0-1の敗戦を甘んじて受け入れたうえで、このまま時間をやり過ごせばいい。そんな新潟の姿勢は、試合が後半なかばを過ぎると、さらに鮮明になった。

 リードしている広島は、時間を使いながらゆっくりとDFラインでボールを回す。一方の負けている新潟も、ボールを奪いにはいかずに自陣で構える。奇妙な光景を見せ続けられる、ひどく退屈な試合となったが、スタンドも何が起きているのかを理解していた。わずかに批判的な口笛が聞こえはしたが、ブーイングが大勢を占めることはなかった。

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