福田正博が指摘。ハリルホジッチに欠けていた「代表監督に必要な資質」 (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 しかし、UAE戦を見る限り、それができていたとは言い難い。最終予選の初戦は難しい試合なだけに、本田、香川真司、岡崎慎司、長谷部誠、清武弘嗣、吉田麻也らの経験値に期待した面は理解できるものの、彼ら欧州組のコンディションは良いとはいえず、ベストパフォーマンスからはほど遠かった。それが敗因のひとつだった。

 他に選手がいないのなら、それも仕方がない。しかし、経験値では劣るものの、今季の齋藤学(横浜F・マリノス)のように、Jリーグで高いパフォーマンスを発揮し続けてコンディションの良い選手もいる。コンディションの悪い選手を起用するより、そうした選手をひとりかふたり起用するだけでも、チームは生まれ変わる。タイ戦はまさにそういう試合内容だった。浅野拓磨、原口元気というコンディションの良い選手を起用したことで、苦しんだとはいえ勝利することができた。

 ハリルホジッチ監督の就任から1年半、アジア2次予選であれば、対戦相手はこちらのコンディションが多少悪くても勝ててしまう格下がほとんどだった。親善試合であれば選手交代が6人まで可能なため、長距離移動で疲れている欧州組を次々と交代させて何とかなっていた。しかし、最終予選は対戦相手のレベルが上がり、交代枠は3人。ハリルホジッチ監督は、今回UAEに負け、タイ戦で苦しんだことで、日本が抱える問題の本質がやっと理解できたのではないだろうか。

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