福田正博が指摘。ハリルホジッチに欠けていた「代表監督に必要な資質」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 UAEとは2015年アジアカップで対戦してPK戦で敗れていたが、そのときは日本が優位に試合を進め、相手を一方的に押し込んだものだった。それもあって、ハリルホジッチ監督だけではなく、選手にも油断やスキがあったのではないか。たしかに、浅野拓磨のゴールラインを割っていたシュートは幻となり、不可解な判定もあった。しかし、それを言い訳にできないほど、日本代表はサッカーの内容そのものが悪かった。

 UAEが最終予選に向けて2カ月の合宿を張ってコンディションを整えてきたのに対し、日本代表は準備不足だったことは否めない。ここにこそ、ハリルホジッチ監督の、日本サッカーが置かれている状況への認識の甘さがあったように感じられる。

 現在の日本サッカーにとって大きなネックになっているのが、欧州から見て「極東に位置する」という地理的問題と、アジアでの戦いと、W杯での戦いで相手のレベルが異なる「ダブルスタンダード」のふたつだ。

 日本は、サッカーの本場である欧州から見て極東に位置する。そのため、ヨーロッパ組はW杯予選のたびに長い距離と時差を乗り越えての移動を強いられる。スケジュールに余裕があれば、問題はないだろうが実際は、欧州組はリーグ戦を終えてすぐに移動しなければならず、しかも代表戦の1日前や2日前にチームに合流する。そのため、どれだけ技量の高い選手であっても、それを発揮するための土台であるコンディションが、100%ではないまま代表戦に臨むという問題がある。

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