浦和を幻惑した「あちこちにいる」中村憲剛。川崎Fが大一番を快勝 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「相手にとって(自分が)どこにいるのが嫌なのか、ずっと考えていた。意識していたのは、モリじゃなくて、ユウキ(阿部勇樹)とヨウスケ(柏木陽介)。彼らの背後を取れば、どちらかが背中を見なければいけなくなる。そうすると(うちのボランチ)リョウタ(大島僚太)か、ネット(エドゥアルド・ネット)のどちらかが空く。とにかく、中盤で3対2の状況をつくることしか頭になかった」

 ピッチの中央では、柏木と阿部の2ボランチに対して、大島とエドゥアルド・ネットの2ボランチ+中村というシーンが多かった。ボールを簡単に失わない川崎が数的優位に持ち込んで、パスをつなげないはずがない。それは、阿部も認めるところだった。

「憲剛さんがあのポジションで出るということは、中に入ってきたり、落ちて来たりするんだろうなっていうことはわかっていた。それで大島くんやネット選手とで3対2の状況をつくられて、ボールを回されるときがあった。アウェーでやったとき(ファーストステージ第8節)よりもうまく回されてしまいましたね」

 こうして中村は、前半15分に奪った自身の先制ゴールに代表されるように、浦和のゴール前で危険な存在となったのだ。

 もっとも、中村が浦和のダブルボランチの背後にポジションを取ったのには、もうひとつの狙いが隠されていた。

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