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鹿実も野洲も『時之栖』をステップに高校サッカー日本一になった (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 そこで阿山さんは現在、試合前や試合後には練習できる時間と場所を提供する、そんな「試合の合間に練習もできる大会」の実施を考えている。

 これぞまさに、現場のニーズから生まれた発想である。阿山さんは「グラウンドも増えたし、いろいろなことができる可能性は高まっていると思います」と語る。

 すでに時之栖スポーツセンターが所有するグラウンドの数は17面まで増え、「そのクオリティさえ落とさなければ、ハード面(の拡大)はもういいかな。それよりもソフトを充実させていきたい」というのが今の実感だ。

 具体的には、今後に向けて「国際化を図りたい」という夢を持っている。時之栖を舞台に、海外のチームと日本のチームが対戦する。そんな日が近い将来、やってくるのかもしれない。

「ただ、やり始めても3年くらいで終わったら意味がない。そのためには、海外のチームに(招待ではなく)自費でも来たいと思われるような大会にしなればいけない。一発のインパクトよりも、規模は小さくても長くやることが大事。それが、日本の底辺を強化することになりますから」

 阿山さんの発想には、常に「日本のサッカーをよりよくしたい。強くしたい」が根底にある。それでいて、独善的な考えに陥ることはなく、押しつけがましくなることもない。何よりも優先されるべきは、「プレーヤーズファースト」。なるほど、時之栖に多くのサッカーチームが集まってくるはずである。

(おわり)

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