CS出場逃したFC東京。「ウノゼロ」サッカーの進化と限界 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 今シーズンの東京は守備力を高め、プレー効率を上げた。セットプレーはリーグトップの22得点。ウノゼロは勝利の方程式となった。フィッカデンティは「2年間で優勝争いをするチームにするという約束を果たした」と強調している。
 
 しかし、ウノゼロは優勝するには不十分だったと言わざるを得ない。年間トップのサンフレッチェ広島とは勝ち点で11ポイント差、得失点差は31点。防御力は高いが得点力は乏しく、ゴール数は18チーム中7位タイだった。ウノゼロによってCS出場にあと一歩と迫ったが、その限界も露呈させた。

 昨シーズンの欧州リーグでは、イタリア、ドイツ、フランス、ポルトガル、オランダで最多得点チームが優勝している。スペイン、イングランドも得点の2番目に多いチームがリーグを制覇。ウノゼロは一つの戦い方であり、それを進化させた今年の東京は賞賛に値するが、王者にふさわしい様式ではない。フットボールはより多く点を取った方が勝つのが原点のスポーツなのだ。

 最終節、東京は実に東京らしく戦った。CS出場権には手が届いていた。それは進化させてきたウノゼロの賜(たまもの)だった。しかし、同時に限界だったとも言える。もっとも、全力で戦いを終えたばかりの選手たちが割り切れるはずもない。彼らは誇り高く戦った。

「今日だけはあまり話したくない」

 肩を落とす選手たちの足取りは、無念さを引きずるように重かった。


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