湘南・山田直輝の決断「浦和から出ることは悩まなかった」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text&photo by Asada Masaki

 それでも、「長いブランクはすぐに取り戻せるものではないとも思っていたので、新しい環境に来て、そんなに簡単に試合に出られるとは思っていなかった」と語る様子に、焦りや苛立ちは感じられない。

「今は、新しい自分として生まれ変わっていかないといけないなっていう気持ちも芽生えてきているので、前ほどそんな悩んでいるってことはないですね」

 どんなことがきっかけで「モヤモヤ」は晴れるのだろうか。穏やかな表情で語る山田にそんなことを尋ねてみる。すると、山田は「うーん」とうなり、一拍置いて口を開いた。

「自分でもわからないですけど……、でも、すごく単純なことのような気はするんです。試合に出ていいプレイをするだとか、自分のプレイでチームが勝利するだとか、たぶん、そんなことだと思うんですけどね」

 かつてはA代表でプレイした経験まで持つ華やかなキャリアは、山田に対する期待を高める要因となる一方で、新天地でもがく山田にとっては重荷になりかねないのではないか。そんな不安をぶつけてみても、落ち着いた様子が変わることはなかった。

「五輪予選やU-17W杯もそうですけど、A代表で経験したことは絶対に無駄にはなっていないし、重荷にもなっていません。でも、もう一度あそこでプレイしたい。その気持ちはずっと持っています」

 そして、山田はこう続ける。

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