福田正博が語る「日本人FWの『決定力を育てる』方法」 (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 もちろん、サッカーでも育成年代のころから海外へ行き、環境を変えるという手はあるが、現実的に考えて、すべての選手が海外へ行くことは難しい。より現実的な案としては、選手を育てる際に日本の各地方の「気質」や選手の性格というものを考慮するやり方もあるのではないかと考えている。

 たとえば、目立つことが評価され、物怖じしない関西人の気質は、FWというポジションに適していると思うし、東北人の忍耐強さは守備的MFやDFに求められる資質を満たしていると思う。

 実際、トップクラスの選手たちを見ると、関西出身の本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、宇佐美貴史らが攻撃的なポジションで力を発揮し、東北出身の今野泰幸、小笠原満男や柴崎岳は中盤の底でチームを支えている。当然ながらすべての選手に当てはまるものではないが、地域ごとの気質や選手個々のメンタリティは、ポジションの適性を見るときの判断材料になると私は思っている。

 サッカーは、その国の国民性が表出すると言われることが多い。そうであるなら、育成において、もっと日本人のメンタリティを考慮した指導や、言葉の選び方が必要になってくる。もちろん、海外に目を向けていい部分を取り入れることは大切なことだ。ただし、海外の情報をそのまますべて受け入れるのではなく、取捨選択をして、日本人に合った伝え方をしていく時期にきている。
そして、その積み重ねが、日本らしいサッカーのスタイル構築につながっていくと思う。


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プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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