負けて余裕の浦和は、本当に昨年と違うのか?
この日、浦和レッズが見せたのは、昨季から続くどうにも煮え切らない試合だった。
J1第2節、サガン鳥栖戦。浦和にとってホーム開幕戦となったこの試合、シュート数17対3という数字が示すように、常にボールを支配し、攻め続けたのは浦和のほうだ。しかし、浦和は一度もゴールネットを揺らすことなく、逆にミスから与えたワンチャンスを決められ、前半に9分に失点。0-1で敗れた。
J1第2節、ホームで鳥栖に敗れた浦和は1勝1敗となった 昨季の浦和は、「ここを勝てば首位」という重要な試合をことごとく落とした。シーズンを通して優勝争いに加わりながら、それでいて一度も首位に立つことはなく、最後は3連敗と大失速。終わってみれば、最終順位は6位である。
昨季からの悪い流れは、依然続いている。鳥栖に勝ち点3を献上した試合からは、そんな印象を受けた。
ところが、選手から聞かれたのは、意外なほどポジティブな反応だった。柏木陽介は「昨季の終わりごろより、いいサッカーができている」と言い、こう続ける。
「先に失点して、昨季ならイケイケドンドンになって攻めに出て、逆に失点を重ねていたけど、今日は負けていてもじっくりと攻めることができた」
ペトロヴィッチ監督もまた、意見は同じだ。
「リードした相手が引き気味に守備を固めてくると、スペースと時間がなくなる。疲れが出て集中力に欠け、焦りも出てくるものだ。そんななかでも落ち着いてボールを動かし、サイドから中央からとフレキシブルに攻めることができた。後半は攻めあぐねた印象を持たれるかもしれないが、攻撃のところは比較的うまくいっていたと思う」
昨季を振り返ったとき、浦和が優勝を逃した要因のひとつとして、失点数の多さが挙げられる。
浦和の総得点数66はJ1全18クラブ中トップだったが、その一方で総失点数56も6位タイと多かった。最少失点(29)だった広島のおよそ倍の数字である。
だからこそ森脇良太も、「今日は結果として負けたので、そこに逃げたくはないが」と前置きしたうえでこう語る。
「先制されても前がかりにならずにやれたのは収穫。追加点を取られることなく、左右にボールを動かし、落ち着いて攻めることができていたと思う」
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